医薬部外品ファンデーションの成分配合濃度と肌への浸透メカニズム|製薬会社開発の違い

「医薬部外品ファンデーション」に隠された科学—95%美容成分が肌に届く仕組みとは?

「95%美容液成分配合」「W有効成分」—こんな表記を見て、普通のファンデーションと何が違うのか疑問に思ったことはありませんか?実は、医薬部外品ファンデーションには、一般的な化粧品とは全く異なる科学的アプローチが隠されています。

製薬会社が開発に携わる医薬部外品ファンデーションは、単なる「メイクアップアイテム」とは設計思想が異なります。成分の浸透性を考慮した処方技術、臨床試験データに基づく処方設計、そして厚生労働省に承認された有効成分の配合—これらが、科学的アプローチのもとに設計されています。

この記事では、医薬部外品ファンデーションの成分配合濃度と肌への浸透メカニズムを科学的に解説し、製薬会社開発ならではの技術的特徴を明らかにします。

医薬部外品ファンデーションと一般化粧品の主な違い

医薬部外品と一般化粧品の主な違いは、「効果・効能が厚生労働省に承認された有効成分を配合できる」という点にあります。

一般化粧品の広告では「角層まで浸透」としか表現できませんが、これは広告表現上のルールです。実際には医薬部外品の有効成分は、表皮や真皮層にまで作用することが科学的に認められており、承認された範囲でその効果を謳うことができます。

たとえば、HARIAS薬用クッションファンデーションに配合されている2つの有効成分を見てみましょう。

有効成分 承認された効能効果 期待されるメカニズム
ナイアシンアミド シワ改善・美白※1 真皮層のコラーゲン産生サポート、メラニン生成への働きかけ
グリチルリチン酸ジカリウム 肌荒れ防止 肌荒れを防ぐ働き

これらの有効成分は、厚生労働省の承認を受けており、その効果には科学的根拠があります。つまり医薬部外品ファンデーションは、メイクをしながら承認された有効成分によるスキンケアアプローチも期待できる「機能性コスメ」として位置づけられています。

成分配合濃度の科学—製薬会社だからできる処方設計

「成分がたくさん入っていれば効果的」—そう思っていませんか?実は、成分配合において最も重要なのは「最適濃度」です。

有効成分の配合濃度基準

有効成分は、配合濃度が多すぎると刺激になり、少なすぎると十分な働きが期待できません。医薬部外品では、臨床試験データに基づいて「効果が期待される濃度範囲」が定められています。

製薬会社開発の強みは、臨床試験データを活用して最適濃度を追求できる体制を持つ場合が多い点が特徴です。一般化粧品メーカーとの違いは以下の通りです。

95%美容液成分という処方の意味

「95%美容液成分配合」という表現の背景には、基剤(ベース成分)との相性を追求した処方技術があります。

化粧品成分の浸透性は、成分単体の性質だけでなく、基剤との相性によって大きく変化します。具体的には次の3つの要素が重要です:

  • 基剤と皮膚の親和性:油分の多い基剤は親油性の角層になじみやすい
  • 基剤に対する溶解性:適度な溶解性が浸透をサポート
  • 基剤中の成分状態:pHによって分子型/イオン型が変化し、浸透性が変わる

製薬会社は、これらの要素を科学的に最適化することで、高濃度の美容成分を配合しながらも、べたつかず、肌への浸透性に配慮した処方を実現しています。

製薬会社の処方技術の特徴

例えばHARIASの開発では、東洋新薬との共同開発により、100回以上の試作を重ねた処方開発が行われました。また、従来のフラバンジェノール®より特長物質を多く含む「高濃度フラバンジェノール®」を配合しています。これは製薬会社ならではの成分抽出技術と処方設計力によるものです。

肌への浸透メカニズム—有効成分が働く仕組み

皮膚構造と成分浸透経路を示すインフォグラフィック

「化粧品は角層までしか浸透しない」—この誤解は、広告表現のルールと科学的事実が混同されて広まったものです。

皮膚の構造と浸透の基本原理

皮膚は外側から「角層→顆粒層→有棘層→基底層(表皮)→真皮→皮下組織」という構造をしています。

化粧品の広告では「角層まで」と表現するルールがありますが、これは「生きた細胞には作用しない」という化粧品の定義に基づくものです。しかし医薬部外品の有効成分、特にナイアシンアミドのような成分は、真皮層のコラーゲン産生をサポートするメカニズムが認められており、承認された範囲で「真皮まで浸透」と表現することが可能です。

浸透促進技術の最前線

化粧品メーカーは、有用成分を狙った部位に効率よく届けるために、さまざまな浸透促進技術を研究・開発しています。

ナノディスク構造とカプセル化技術

資生堂が開発した「ナノディスク構造」は、浸透技術の革新例です。特定の界面活性剤が油水の界面で円盤状の「ナノディスク」構造を形成し、極めて安定な乳化粒子をつくります。

肌に塗布すると、この構造が均一なコーティング膜に変化し、油分はコーティング膜に挟まれ、保湿剤は角層中に浸透します。結果として、べたつきの少ない使用感と機能性を両立できます。

また、資生堂が開発した新規導入促進成分「AB/XY complex」は、従来の導入促進剤と比較して浸透速度が約3.7倍、浸透量で約3.5倍という数値を達成しています。

製薬会社開発の特徴—研究開発体制とエビデンスへのアプローチ

研究者が色付き液体の入った試験管を調べているラボのイメージ

製薬会社開発と一般化粧品メーカーの特徴的な違いは、研究開発体制とエビデンスへのこだわりにあります。

研究開発体制の特徴

製薬会社の研究開発は、次の3段階プロセスで進められることが多くあります:

  • 基礎研究:皮膚の構造と機能、肌トラブルの原因を科学的に研究し、新しい有効成分を探索
  • 処方開発:基礎研究で得られた情報をもとに、化粧品の「処方(レシピ)」を組む
  • 安全性研究:化粧品が人体に与える影響を評価し、安全性を確認

例えば、HARIASの開発では東洋新薬という製薬会社と共同研究を行い、100回以上の試作を重ねて95%美容液成分という処方を完成させました。

エビデンス(科学的根拠)へのこだわり

製薬会社は、製薬開発で培った「エビデンス重視」の姿勢を化粧品開発にも活かしています。

  • 大学や研究機関との共同研究
  • 学会や論文での研究発表
  • ヒト皮膚を用いた浸透試験データ
  • メイクキープ効果の実測データ

これらの科学的データが、製品の信頼性を裏付けています。

安全性試験の徹底

医薬部外品は肌に直接触れるため、市場に出される前の安全性確認が極めて重要です。製薬会社は以下の段階で安全性を評価します:

  • 原料の安全性評価:個々の成分の毒性試験、アレルギー試験
  • 製品の安全性評価:完成品でのパッチテスト、長期使用試験

新規導入促進成分の開発においても、細胞の生存率を観察し、安全性を確認する工程が組み込まれています。

製薬会社開発の実例:高濃度フラバンジェノール®配合の意味

HARIAS薬用クッションファンデーションは、製薬会社開発の技術が結集された実例です。

「高濃度フラバンジェノール®」とは、従来のフラバンジェノール®より特長物質を多く含むフランスカイガンショウ樹皮エキス(保湿成分)のことです。この成分抽出技術は、東洋新薬という製薬会社ならではのものです。

コロナ禍のマスク生活で肌荒れに悩む人が急増したことをきっかけに開発がスタートし、「肌へのやさしさと使いやすさを両立させたベースメイク」というコンセプトのもと、妥協のない研究とたしかなエビデンスに基づいて完成しました。

医薬部外品ファンデーション選びのポイント

ここまで見てきた内容を踏まえて、医薬部外品ファンデーションを選ぶ際のポイントをまとめます。

医薬部外品ファンデーションは、単なるメイクアップアイテムではなく、科学的アプローチに基づいた「機能性スキンケア」として位置づけられています。成分配合濃度と肌への浸透メカニズムを理解することで、あなたの肌悩みに寄り添う製品選びの参考になるでしょう。

科学的アプローチで設計された医薬部外品ファンデーション。あなたの肌悩みに寄り添う選択肢として、検討してみませんか?

【ご注意】

  • 本記事で説明する浸透メカニズムは一般的な科学的原理を示すものです
  • 医薬部外品の効能効果は承認された範囲内に限られます
  • 個人の肌質や使用状況により感じ方は異なります
  • 特定の製品の効果を保証するものではありません
  • 肌に合わない場合は使用を中止し、専門医にご相談ください